雨と桜は嫌いですか？

１

「？」

どういうことだ？

電気を点ける。

強い光に慣れない瞳は眩しさに眩む。

何度か瞬きした後、もう一度室内を見た。

ベッドの脇に置いていた、ドレッサーがなかった。

「!？」

なんだ、何が起こってるんだ。

不安が、胸を駆け抜けていき。

階段を走った。

リビングの扉を勢いよく開ける。

ソファーベッドが、ない。

その前に置いてあったTVも。

壁に掛かっていたはずの、ピンク色の時計も。

「なんだってんだ、くそ」

一瞬泥棒でも入ったかと思ったが、荒れている訳ではない室内と。

居なくなった二人と。

残されていたダイニングテーブルにあった、一枚の紙きれと。

…取り残された、俺と。