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「俺たちの、何を知ってるって言うんだ」
腹が、立った。
沸々と、腹の中に沸き起こる怒りのままに手にした紙を引き裂いた。
引き裂いて、引き裂いて、引き裂いて。
小さくなったそれを床に投げ捨てると、当たり前のように散った紙片がフローリングを汚して、余計に腹が立った。
「何が、桜だ」
白い紙片が桜の花びらのように映り、今朝の会話を思い出す。
そんなことよりももっと。
言うべきことが、あったんじゃないのか。
こんなことをする前に。
「なんでっっ!」
怒気を孕んだ声が、虚しく響く。
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