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怒りを受け止める相手もなく、虚しさだけが募っていく。
何が理由なのかも分からない。
ふらふらと、ダイニングテーブルの前まで行き、椅子を引く。
デザインが気に入って、俺が半ば強引に決めたそれらは。
だから置いてあるのか知らないが、硬い椅子は冷たく、酷く座り心地が悪かった。
「こんなでかいテーブル…一人じゃ使えないだろ」
何もかもが、虚しかった。
何もかもが、不要なものに思えた。
『お前にしか、お前の家族は守れない』
課長の昼間の言葉が、脳裡をよぎる。
「俺が…守れてなかったからか」
悠里は理解があるから大丈夫。
それは。
俺だけの思い込みだったんじゃないのか。
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