20/21

1895人が本棚に入れています
本棚に追加
/651ページ
怒りを受け止める相手もなく、虚しさだけが募っていく。 何が理由なのかも分からない。 ふらふらと、ダイニングテーブルの前まで行き、椅子を引く。 デザインが気に入って、俺が半ば強引に決めたそれらは。 だから置いてあるのか知らないが、硬い椅子は冷たく、酷く座り心地が悪かった。 「こんなでかいテーブル…一人じゃ使えないだろ」 何もかもが、虚しかった。 何もかもが、不要なものに思えた。 『お前にしか、お前の家族は守れない』 課長の昼間の言葉が、脳裡をよぎる。 「俺が…守れてなかったからか」 悠里は理解があるから大丈夫。 それは。 俺だけの思い込みだったんじゃないのか。
/651ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1895人が本棚に入れています
本棚に追加