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ネクタイと襟の間に指を入れて弛めながら、テレビから流れてきた音声に耳を傾ける。 「…駅の階段から、作曲家の高岡晴臣さんが転落した事故の…」 「はあ!?」 幼馴染みの名前が、キャスターの口から飛び出して来て、陵介は目を見開いた。 階段から落ちた? さっきの電話、どうりで繋がらないわけだ。 「陵介!今」 「ああ…。もうちょい見よう」 キッチンから沙耶香も走ってきて、二人で画面に見入る。 「事故を目撃した人の話では、男に背中を押されたようだったとのことです。警察は事件と事故の両面から捜査をしていく方針です」 キャスターの声が一区切りしたところで画面が切り替わり、現場となった階段が映った。
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