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血痕の残る階段の映像に、沙耶香が蒼白になり、エプロンを脱ぎ捨てた。
沙耶香は晴臣にずっと片想いしていて、彼のこととなると、普段落ち着いている沙耶香の慌てぶりも半端ない。
ニュースを最後まで聞き、命に別状はないが、どこかの病院に入院していることまでは分かった。
「病院にっ」
飛び出していこうとする沙耶香を引き留めて、陵介はスマホを取り出した。
「ああ、そうだな。あいつの両親は沖縄だし。…晴臣の事務所に連絡してみよう」
事務所の連絡先はすぐに知れた。
教えてくれるかは分からないが、とりあえず動かないことには始まらない。
「…どう?分かった?」
事情を説明すると、身内だと分かってくれたようで意外にもすんなり入院先を教えてくれた。
「行くぞ。中央病院だ」
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