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◇◇◇◇
病室に入ると、横になっていると思っていた晴臣は半身を起こし、窓の向こうをぼんやりと眺めていた。
頭に巻かれた包帯が痛々しい。
「晴臣、お前大丈夫なのか!?」
咄嗟に声を出すと、思っていたより大きな音量で静かな病室に響き渡った。
晴臣は驚くでもなく、ゆったりとした動作でこちらを振り返った。
あちこち、痛むのかもしれない。入ったときは見えなかったが、右手はギブスで固定され、白い三角巾で肩から吊られていた。
「まぁ、ダメよ、陵ちゃん。病室でそんな大きな声を出したら」
あとから入ってきた沙耶香は、あんなに心配して青くなっていた癖に、意識のある晴臣を見て安堵したのか陵介を諫めた。
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