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晴臣は、なんのことだか分からないらしく元々寄せていた眉間の皺を、更に深くした。 晴臣はしばらくそうしていたが、緩く頭を振って呟くように言った。 「なんのことだ…。新城、れおって…誰だ」 ただ事ではない雰囲気に、陵介は沙耶香を見た。 同じように、深刻な顔をした姉も陵介を見ていた。 「陵ちゃん、これって…」 「あぁ、先生を呼んで来る」 外傷だけでない異常に息を飲む。 ナースコールのボタンを押せばいいことに、気が回らなかった。 陵介は入ったときと同じように慌てて病室を出た。
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