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「特別休暇なんて取ったって、事件があったらそっちに行くよね、透は…」 悠里は最初から期待していなかったとでも言うように、冷めた口調で言葉を落として、ため息をついた。 それに関しては、否定出来る要素もなく、俺はいつも同じ言葉を口にする。 「…ごめんな」 「…もう時間じゃない?…遅刻するよ」 呟くようにそう言った悠里の言葉に、俺は壁の時計を見た。 薄いピンクの縁取りの、可愛らしい時計。 このうちを買った時に、悠里が欲しがったものだ。 時計の長針は、いつも出る時間の5分先を指していて、俺は慌てて残ったコーヒーを飲み干した。 「わ、やべ。あ、美優の入園式いつ?」
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