4/21

1895人が本棚に入れています
本棚に追加
/651ページ
慌ただしく席を立つと、ソファに掛けていた上着を乱雑に掴んで、玄関に走った。 「…四月の最初の土曜だよ」 玄関まで見送りに来た悠里が、俺の背中に小さく声を投げる。 「分かった。じゃ、行ってくるっ」 「…うん、いってらっしゃい」 俺が振り返ると、悠里はいつもと同じように手を振って。 いつもと同じようにそう言った。 まさかそれが最後の会話になるなんて、その時の俺は、思いもしなかった。
/651ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1895人が本棚に入れています
本棚に追加