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いつきちゃんのこと、アタシは誰よりも尊敬している。いつきちゃんは心も身体も強くて、かわいい。
子供の頃からいつきちゃんに憧れて、アタシもいつか、いつきちゃんみたいに強い生き物になりたいって、思ってきた。
それが病的な妄想につながり、思いが叶い、アタシは今や本当に最強の女王になってしまったわけだが。
とにかく。
アタシは1年生の時、クラスで、雪ノちゃんっていうやっかいな美少女にいじめられていた。
雪ノちゃんもセーラー服が好きな子だった。毎日セーラー服を着ていた。
雪ノちゃんは肌が白くて髪の色素も薄くて栗色、瞳も茶色で、外人さんみたいな子だった。
ちなみに、一方的にいじめられてたわけじゃない。アタシだって反撃して、雪ノちゃんをビンタしたりして、時には勝てた。
2年生になって、雪ノちゃんとは違うクラスになり、学校でめったに会わなくなった。
会わなくなっても、今でもアタシは雪ノちゃんにいじめられたことを、フラッシュバックで思い出す。
雪ノちゃんを思い出すタイミングはいつも、アタシがコーキ君のことを思う時…………。
アタシが雪ノちゃんにいじめられたのは、雪ノちゃんもコーキ君のことが好きだったから。
アタシがコーキ君のことを好きだと見抜いて、雪ノちゃんはアタシを目の敵にするようになった。
雪ノちゃんの気持ちは分かるから、アタシも複雑な気分だったけど、だからってクラスの女子達巻き込んで、「見えないフリ祭」することないじゃん、と思い、時には雪ノちゃんに殴りかかったアタシだった。
授業がはじまり、アタシは自分の席で、コーキ君の後頭部をずっと眺めた。
コーキ君は日本史の時間も数学の時間も英語の時間も。先生達の講義なぞ聞かず、ずっと窓辺で、校庭の枯木や寒空を眺めていた。
先生達は誰もコーキ君を叱らない。
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