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そんな優子達のやり取りを覗き見る複数の視線を感じ取った優子は、背筋を凍らせる。
すぐさま、視線に向かって声を荒げると、現れたのは覆面で顔を隠した集団。
しかし、顔を隠した集団の服装は、優子のよく知るものだ。
世間の裏側で、町の安全の保持活動を行う人間だけが着用する巫女装束を改造した服装。一団は優子の同業者だった。
瑞希との噛み合わない話の原因は、彼女らの策略によるもので、優子は、まんまと誘き寄せられたようだ。
囲まれた優子は、瑞希の安全と裏業界の存在隠ぺいのために瑞希を気絶させると、絵札とスマホを取り出す。
スマホの側面の溝を絵札でなぞれば、優子は一瞬の内に同じ巫女装束へと着替え終わる。それを見計らって、優子の後ろから現れたのは、人の形をした狐。
その狐、「神様」の一種で位は、『神使』(シンシ)。名を狐神・レナという。優子の相棒だ。
彼女らも相棒の神使を呼び出すと、一斉に襲い掛かり、戦闘が始まった。
優子達の戦闘能力の高さは、業界随一。
そんな優子達に罠を仕掛けてまで、戦闘を持ち込んだにしては、彼女らの戦闘能力は低く、全く向こう側に勝ち目などなかった。
では何故、回りくどいことまでして襲ってきたのか。優子は攻撃を受け流しながら、その真意を思考する。
すると、彼女らよりその相棒達の方が、一体分多いと気づき、辺りを見渡した。
そして、気絶させた瑞希の横に立つ伏兵が目に入る。
瑞希を巻き込まないように彼女らから引き離した行為は、彼女らの思うつぼだったのだ。
伏兵は何らかの術式を展開。阻止しようと近づく優子の行く道を敵の神使達が捨て身で邪魔をする。
レナへ合図を送ろうと、視線を向ければ、彼女らからの多重に掛けられた術式を喰らい、身動きが取れないでいた。
怒る優子は、業界随一の戦闘能力で、敵の神使達を掴んでは投げ、殴っては蹴り飛ばして、進撃していき、最後の一体と対峙する。
相手の眼差しは、気迫が他とは違った。力業では倒せないと察し、レナを抑えている術式を解除させた方が、得策だと結論に達した次の瞬間、瑞希とレナが光輝いた。
戦術を建てている間に、術式が完成してしまったのだ。
彼女らは去り、優子が駆け寄ると、二人の言動から異変を感じる。
それは、瑞希とレナが術式によって、魂を入れ換えられてしまった成れの果てだった。
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