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手掛かりは犯人らの着用していた衣装にある。それは同業者であればひと目でわかる衣装。彼女らが着用していたのは戦巫女専用に作られたの巫女装束。優子と同業者である証。
ならば、普段の優子と同じ行動をとるはず。昼間は一般人として身を潜め、夜間は、活動し始めた悪神を捕えて、神様の國へ還って頂く儀式を行っているはずだ。
そう考えた優子は、日の出ている間に一般人として身を潜める同業者達の動向を探り、日が落ちてからは、儀式を行っている同業者達の発する力が、事件のときの彼女らと同一ではないかを探っていた。
結果として、彼女らを発見出来なかった。
そこで、捜索方法を見直した優子は、一つの結論を出した。戦巫女の活動をいつも通りにする、という方法だ。この方法からもたらされる効果は、正々堂々と同業者に不審な噂などの情報収集ができること。そして、慌てふためいているはずの優子たちが、平然な表情で行動することは彼女らにとって面白くないはず。接触してくる可能性が高くなる。
しかし、こちらは自分と、人の姿をした神使と神使の姿をした一般人しかいない。戦巫女の活動をするには危険だった。だが、優子は意を決して瑞希とレナに相談をした。
合意を取り付けたその夜、早速三人で町へ繰り出した。
戦巫女装束に身を包む優子。戦巫女装束を模した服を着るレナ。神使の姿をあらわにしたままの瑞希。夜の道を駆ける中、瑞希は透明化せずに出歩いても構わないという優子の指示に疑問を示す。こんな不思議な姿の自分が、夜中とは言え、堂々と歩いて騒ぎにならないのか。
優子はその答えとして、悪神が神様の國から人の世へ現れる際、境界線から揺らぎが発生する。それを感知した神社側が、出現地帯周辺に強力かつ巨大な人避けの術式を展開するという流れを瑞希に説明する。一般人から目撃がないのはそのためだ。
そんな道中、ちょうど初心者向けの妖怪と遭遇する。
優子とレナにとっては雑魚でしかないが、瑞希には、豚ほどの大きさをした黄色いカエル姿や、背中の燃えるような燈色の体毛から反り立つ鋭い背ビレが、とても恐ろしく思えてしまい、襲いかかる妖怪から逃げ回るばかりだった。
優子が術で捕縛すると、瑞希を諭し、レナと戦略を立てる。瑞希は教わった技術を駆使し、捕縛から放たれた妖怪の隙を突き、なんとか退治に至った。
戦闘を終えた瑞希は腰を抜かして座り込んだ。
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