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この夜から三人での悪神祓いの活動が始まる。毎夜、初心者向けの悪神達の反応を神社から優子のスマホへ受信しては悪神祓いをした。活動を開始してからは、他の戦巫女と出会う度に、情報を慎重に求めた。
初めての悪神祓いから三夜経ち、瑞希の身体能力は上がって快調に活動は済んだのだが、肝心の彼女らに関する情報は入手出来ずにいた。
そこで、気が付いた盲点。自分の所属する神社の区域内で事件の被害にあったため、彼女らも同じ区域の戦巫女だと思い込みをしていた。だが、事件を起こすなら自分に関係ない区域で行った方が、こちらの追跡を払いやすい。
更には、戦巫女の協会で決まっている規則。所属神社の担当区域外での戦巫女としての活動は、協会からの許可、又は緊急の事態に遭遇しない限り、一切を禁ずる。
つまり、優子の所属区域で別の区域の戦巫女が犯行を起こすなら、実行犯以外に誰かの手引き、内通者や共犯者が必要となる。
誰が彼女らの内通者や共犯者か分からない状況の今、彼女らを捕獲しようとしている事を知られたらマズイ為、この瑞希とレナの事態を収束させるために越境許可を得たいなんて相談、誰に対しても出来ないだろう。
だとすると、正攻法では彼女らを捕らえることが出来ない。そんな思考をするも、やはり無断で越境して悪神祓いをすれば所属神社に迷惑が掛かり、自分達の行動が彼女らにもバレてしまうことを懸念してしまい、どのような手を打てば最善なのか優子は気持ちが揺れていた。
そんな優子をよそに瑞希とレナといえば、越境のことよりも、学校での王子様という変な立場をどうするのか、憧れの同級生と今後どのように接すれば良いのか、真剣に話し合っていた。
中身がレナになったことで、学校生活がウキウキしている生徒もいるわけであり、簡単には大人しくなれない。そもそも、瑞希が普段大人しくないため、急に大人しくなっても不自然だ。いや、不自然という言い方もおかしい。既に普段の明るさだけが取り柄の性格から一変してしまっているのだから。だとすれば、今からレナに普段の瑞希の真似をさせてみるか。しかし、そんなことができるのであれば、最初からレナにさせている。結局は現状を維持するほかないのだろう。
三人の悩みは中々解消されることはなかった。
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