10年遅れのクリスマス

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*** 「あー、もう! このハーブ療法、西洋医学でも効果を認める教授たちもいるのに」 「またジョンソンさんとこですか」  綾菜がパソコンの画面から顔を上げて聞いた。 「そ。この療法はまだ評価が一致してないから掲載を薦めませんって。でも大病院でも採用してるとこあるのよ? そういうのこそ、読者は知りたいんじゃない? 情報を得て最終的に決めるのは患者なんだから」 「ですよねえ」 「まったくもう、厳密な監修はいいんだけどさあ、時にはもっと柔軟に対応してほしいもんだわ」 「説得のメール、書いているんですか」 「そ。時差があるからね。連絡は全て電話じゃなくて、メール。これどう?」 『人はみな不確かな世界で生きている。その中で少しでも希望があるのなら、それを知りたい、信じたいと思うのは間違いですか?』 「わ、いいですけど、なんか哲学的。相手は医者、つまり科学者ですよね? こういうの通じるかなあ」 まあ言われてみればそうかも、、、。
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