カウントダウン・3

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「どうしよ……」  あたし、汐崎紅花はデパートの季節品コーナーのレジの外れで立ち尽くしていた。  右手にはデパートのロゴ入りの袋。  その中にあるのは、ケーキ用の型。  いかにもこの季節らしいハートの型は、縦横それぞれ幅20センチもあるだろうか。  衝動買いにも程があるだろ、と思わず一人ツッコミ。  もうすぐバレンタイン。  街中がハートとチョコレートで溢れる季節だ。  このデパートにも、チョコやお菓子の材料を買い求めに来たであろう女の子や、あたしよりずっと年上そうな大人っぽい女性達が入れ替わり立ち替わりやって来て、競うように品物を手に取っては慎重に丁寧に品定めしている。  そんな中、ケーキ用の型を買うのは特段浮いた事ではない。  ……んだけど……。 「どうしよ、お菓子の作り方も知らないのに……」
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