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妖怪ぞろぞろ②
僕は大晦日、お爺ちゃんの家に泊まる事にした。
「孫よ、年末は年越し蕎麦を食べるのが決まりじゃ!」
僕はお爺ちゃんに連れられて屋台のそばを初めて食べた。
「どうして日本人は年末におそばを食べるの??」
「ふうむ。このそばの様に、来年も“細く長く”暮らせるようにと言う願いを込めて食べる訳じゃ。」
「僕、細いのより太い方が良いよぅ。」
「お、おっふ…!!
ワシので良ければ。」
「僕は蕎麦を啜りながら橋の上の屋台から見下ろすと、川岸にお爺さんを見つけた!」
「ナレーションを台詞にするでない。」
「お爺ちゃん、岸辺で小豆を研いでるお爺ちゃんが居るよ!!お爺ちゃん!!」
「紛らわしいからお爺ちゃんを連呼するでない。」
「グヒャヒャヒャヒャ!!この、色艶がぁぁぁ良ぃんじゃよおおお!!グヒャヒャヒャヒャ!!」
謎のお爺ちゃんは白目を剥いて口から涎を垂らして笑う。
「あれ知ってる。図鑑で読んだんだ、あれは小豆洗いって言う妖怪だよ!!きっとそうに違いないよ!!」
「いんや、残念じゃが孫よ。あれはワシの向かいに住んどるゲンさんじゃ。
ゲンさんは和菓子屋に収める小豆の仕入れ業者で
ああして川縁で小豆を研ぐのを生業にしているのだ。」
「どうして!?今の時代、川岸で小豆を研ぐ必要ってあんまり無いよ!?」
「丹念に洗い上げた自家製小豆に拘りと誇りを持っておるんじゃよ。
よし、蕎麦も食ったしこの後デザートに和菓子を食いに行くか♪」
「なんだ、妖怪の正体って変なお爺ちゃんだったんだ。」
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