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泣いた赤鬼
昔々、
ある村にリングが有ったそうな。
「赤、コーナー!!燃える闘魂赤鬼ぃぃぃぃ!!」
「シャッ!!こらあぁぁぁ!!」
「青コーナー!!混沌の闇、黒鬼ぃぃぃぃ!!」
「グロオオォォォ!!」
青鬼を討ち倒した赤鬼の次の刺客は黒鬼であった。
「お前がジャカルタに飛ばされた青鬼と交代で派遣された鬼か。頼むぜオイ!」
赤が肩を叩くと、それを合図とばかりに棍棒を振り下ろす黒鬼!!
「!?
ガッハ!!黒鬼てめぇ…!!」
頭が揺れて一瞬意識が飛んだ。
頭部から血を流している事を自覚する。
「グロオォォ!!ぶぶぶぶ、ぶっ殺ろろろ…!!!」
「こいつぁヤバい…!!」
違う。
こんな事は協会から聞かされていない!!
まさかのガチファイト。
「げっふ、げっ…ハァハァ…赤鬼さん…逃げて…!!」
コーナーを見よ!!
何と、リングの端には顔が倍程膨れた緑鬼がへばりついているではないか!!
「赤鬼さん…僕は本当の対戦相手でした、けどこの黒鬼がどこからともなく現れて…」
「え…ちょ…
え??え!?」
緑鬼は出血していて最早、緑だか赤鬼だか判別出来ない。
彼を瀕死に至らしめた犯人こそ、目の前の黒鬼なのだった!!
「グロオォォ!!」
「うおぉぉぉ!!」
八百長試合に慣れてしまった赤鬼に突如降って湧いた野試合。
既に引き返す事は出来ぬ命の取り合いだったのだ!!
どうなる赤鬼!?
泣いて謝っても許してはくれぬ。
相手は鬼なのだから。
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