第1章 解放者

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新暦142年 宇宙移民計画が開始されてから既に100年。 地球に住む人類の半数近くが宇宙に移民をしていた。 地球だけでの生活が困難と判断した人類がとった計画は未来の人類存亡を考えた宇宙移民であり最善の策。 しかしそれを期に地球を狙う者達が現れた。 突如地球を我が物と火星人の侵攻によりそれは異種族との戦争の火種となる。 停戦に応じず圧倒的な戦力で文字通りの力押しで潰しにかかる。 地球を奪う者と死守する者、戦争は12年以上と続いて今もなお終わらない。 新暦154年 球型コロニー“SC362”は近年造られたばかりの新型コロニー。 地球をモデルとして外壁色や大きさは違うものの環境は地球とほとんど変わらない。 第二の地球とも言えるこのコロニーでは戦争とかけ離れた平和な生活を送れている。 土曜の朝の7時、人工太陽が街を照らす休日に学校の制服姿で朝食を作る少年・熾星 タクトがキッチンに立っていた。 作りたてのスクランブルエッグに程良く焼けたパン、そして牛乳といった一般の朝食。 1人分だけではなく2人分の皿をテーブル上に置いてイスに腰を下ろす。 「いただきます」 両手を合わせてお辞儀。 焼きたてのパンにかぶりついて朝食にありつく。 少年が何気なく朝を満喫していると隣の部屋と繋がるドアが内側に開かれた。 「おはよう姉さん」 「おはよ……今日も学校なんだ」 姉のリサは寝相の悪さにボサついた長い黒髪、タンクトップにショートパンツといった格好で今にも寝てしまいそうな状態で起床したのだ。 イスに座るリサにタクトは気を使い牛乳の入ったコップを手渡す。 「今日はサトシ達とレポート作成するから学校に行くだけだよ」 「タっくんも忙しいわねぇ…」 せっかく貰った牛乳を一口、冷たいせいかリサの目は一気に覚める。
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