ゴッコさん(1)

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【長編:夏だ!海だ!ハワイ旅行(1)】 「ハワイ旅行券?」 夏の暑い暑い日。ゴッコが四姉妹にひらひらと見せているのは、一枚のチケットだった。 「うん。商店街の福引きで当たってね…一家族様ご招待だから、今年の夏休みは、全員でハワイに行かない?」 「行く行く!勿論!!」 間髪入れずにマイ子が立ち上がる。 「いつ行くん!?今日?明日?」 「まあまあ、落ち着いて。えっと、出発日は明明後日の8月2日らしいから、それまでに準備を済ませておいてね」 「はーい!ほらアイ子、行くで!」 「…ちょ、耳引っ張らないで…痛い…」 マイ子はアイ子の言葉も聞かず、はしゃぎながら、ずるずると向こうの部屋へ引っ張っていった。 「マスター」 ゴッコのグラスに麦茶を注ぎながら、ロイ子が話しかけてきた。 「ん?」 「マスター、実は自分であの旅行券買われたのでは?」 「ぶっ!」 彼女の唐突な一言で、口に含んだ麦茶を吹き出してしまう。 「…い、いつから?」 「数日前にマスターがチケットを買ってるのをしっかり見てました」 床やゴッコの顔に飛び散った麦茶を拭きながらロイ子は答えた。 「さいですか…」 「でもマイ子たちには言いませんので、安心してください」 「よろしくお願いします…」
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