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昼下がりの教室。良くある光景といえるだろうか、授業中に頭を伏せてピクリともしない男子生徒が、すみっこの席に居た。
担当の教師がそれに気づく。すぐに隣の席の女生徒が小声で注意してやる。
「龍之介君、龍之介君ってば。先生に怒られるわよ」
自分のことでもないのにドキドキしながら、ついには腕をゆすってやる。だが彼は目を覚まさない。
机に突っ伏している生徒の隣にまで教師がやってきて、教科書を丸める。
体罰といわれたらそうかもしれないが、そんな細かいことは気にしなかった。
「おい島、いくら俺の授業がつまらなくても、そんなに気持ちよく寝ることはないだろう」
目を覚ましたら一発叩こうと構えるが全く反応しない。仕方なく肩をゆするが起きる気配がなかった。
「ん? ふざけるのもいい加減にしとけよ。起きろ島!」
ついには両手で肩を抱えるが、島と呼ばれた生徒は目を開けることはなかった。
異常に気づいた教師が授業を中断し、そのまま医務室に抱えていく。
「俺も手伝う!」
近くの席に座っていた生徒が立ち上がり、片方の腕を取って支える。
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