今日は作者が精神的にアレだから

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◇  ――俺にとっては危険すぎる場所にやってきてしまったな。  前に美術館などと笑われたが、晴香の父親が仕事の伝で貰った、世界の遺品博覧会チケットを手にしてビルの前に立っていた。 「今回はお前の趣味に合わせてやったよ、感謝しろよな」  肩に手を置いて御子柴がにやにやしている。無料のチケットは学生にはとても有り難いものなのだ。 「感謝の対象はお前じゃなくてオヤジさんだろ。ありがとう、晴香」 「いえ、島さんと来られて嬉しいです」  つい冴子の顔色を気にしてしまう。だが彼女はたまたま違う方向をむいていた。意図してかどうか、察して敢えてすぐには関わらないようにしておく。  ――出るまでに体感で何年の冒険になるやら。  入館時に簡単なパンフレットが渡された。ざっと目を通してみると、ヨーロッパで百年戦争、アメリカは南北戦争、アフリカ、アジア……と盛り沢山。迂闊にトリップしたら最後、どうなるかは島には解らない。 「龍之介君、あれ!」  指差す先には微妙に見覚えがある品が展示されていた。 「待ち人よ永遠に、か」  ――何事もないわけにはいかなそうだ。
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