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しかし…。
「お話は、後にしないといけなそうな雰囲気よ?」
薺の目つきが突然鋭くなり、林の奥をブレずに絶えず睨みつけている。また来るのか、昨日みたいなのが。
「あらぁ、また会いに来てくれたのかと思ったら、今度はクロノセイバーちゃんも一緒なのねぇ。」
この気配!昨日感じたのと同じだ!自転車で転倒して大怪我を負わされたであろうあの気配。夢じゃないことはもう分かりきっていた。
「ふーん、未だに蔵だけで動いてるのね、おもしろーい。それとも、あたしのためにわざわざ、来てくれたってことなのぉ?」
なんだこいつ。昨日のとはだいぶイメージが違う。姿形は人間のようだ。頭に生えた一本の小さな角と、背中に生えたコウモリのような翼を除いては。
「妖魔よ、気をつけて。妖魔は人体から精気を喰らって生き続けることが最大の目的。お前は、昨日からあの妖魔に狙われてたって事よ。」
昨日から狙っていた?つまり、昨日ここを通りかかった時には、俺はすでに蔵だったって事か…!じゃあ、いったいいつ!?
そんな思いを巡らせていた時のことだ。俺達の後方で、何者かの気配を感じた。他にもいるのか?俺は、目の前の恐怖に十分な警戒をしたまま、静かに後方に目をやった。
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