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蒼井じゃないか!?さっき帰ったはずじゃなかったのか。このままじゃ、蒼井の身にも危険が及ぶ。どうしたらいいんだ!?俺は、俺は!!
何とかしたい、今この場の状況をどうにかしたい。ただそれだけしか考えていなかった。蒼井を巻き込みたくないという意志だけが、俺の精神力を集中させたのだ。
「まぁ、時詠みの術を使えるのねぇ。ウフフフ…。」
妖魔が何を言っているのか、俺は、すぐに理解ができた。そう、時が、止まったのだ。俺がやったのか?本当に俺が!?
「お前の記憶や周囲の記憶がなくなったのも、どうやらこいつの仕業みたいね。こいつは夜魔。夢や記憶を食べて精気を満たす妖魔よ。見た目に騙されちゃダメ。本性は、もっと醜い、ただの化け物よ。」
やはりそうか。通りでみんな何も覚えていない訳だ。だとしたら、俺の今の記憶も偽物だって事も?では、どこまでが俺の本物の記憶なんだ!?
全身から力が抜けてしまいそうになった。夜魔だかなんだか知らないが、人の記憶を弄ぶなんて、許しがたい行為だ。もはやこんな事、する必要無いのではないかとさえ思えてくる。
「ちょっとぉ、あたしと話してるのに、考え事なんかしちゃダメよ。悪い子さんね。」
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