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なるほど、なんとなくイメージくらいは湧く。しかし、俺にも薺のような戦いが出来るのか?どうやるのかすら分からないこの俺が。でも、俺がやるしかないんだ。選ばれるというのは、きっとそう言う事なのだから。そう思うと、自然に拳に力が入った。
「2時間で死ぬなら、放置してても大丈夫なんじゃない?」
俺の言葉に、薺は怖い顔になって反論してきた。
「ばか!あいつらを甘く見ちゃダメよ。2時間も制裁を加えず放置すれば、街中が幻魔で溢れかえり、本体を見つけない限り、1匹ずつ片付けていくしかなくなる。こんな小さな町、たぶん一時間もあれば全滅ね。」
その眼差しに嘘はないと感じた。真剣さがひしひしと伝わってきた。俺は、自分の軽率な発言に反省と後悔をした。
「俺、櫻井蒼真っていうんだ。真に蒼くと書いて蒼真。その…、昨日は助けてくれてありがとう。」
俺は、後ろ手に頭を掻きながら、話題転換を図る。
「ああ、あれね。別にいいよ、お礼なんて。助けたわけじゃないし。」
薺はそういうが、それでも俺には恩人に違いない。だから、俺は彼女の力になるって決めたんだ。
「薺ちゃんのバティは、今もここにいるの?」
その俺の発言には、薺も顔色を変えた。そして、それについては何も答えてはくれなかった。聞いちゃまずかったのか?それとも、怒らせちゃったのかも知れないな。しかし、俺はその本当の理由をまだ知らなかった。でも、いずれ分かる日が来るに違いない。このときは、まだそんな安易な考えでしかなかった。
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