星がまたたく

11/12
前へ
/23ページ
次へ
「あの……もし良ければ」 「はいっ?」 「休みの日に食事を奢らせて貰えませんか?」 「ええっ? 定期券のお礼なら、これで充分です」 彼女は缶コーヒーを顔の前に掲げた。 「いや、そうじゃなくて、このご縁を大切にしたいと急に思ったんです。何か書くものありますか?」 「ええ。ありますけど」 彼女はポケットから手帳とボールペンを取り出した。 「これが僕の携帯の番号です。勤務先は、これ。ここに掛ければ僕が怪しいヤツでないことが証明されます。それが分かってからで構いません」 「うふふふ…………本当に面白い人。上原寛司さんですよね?」 「そうです。くつろぐ、つかさと書いて寛司です」 「分かりました。そろそろ戻らなくちゃ。コーヒー、ご馳走さまでした」 彼女は立って頭を下げた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加