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部屋に戻る途中で携帯が鳴った。
「私です。美山あかねです。さっきのお話ですけど」
「ええ」
「今の工事は今日で終わりです。明日から2日間連休になるので、明日の夜なら都合が良いです」
ふと見上げた空に星がまたたいた。
「ただいま」
妻の遺影に語りかけたが、返事は聞こえない。
「いや、だってね。お前に生き写しなんだ。声までも。これは浮気にならないだろ? 僕は、あかねが大好きなんだから」
やや間があって妻の声が寛司の胸に届いた。
『いいわ。私と思って彼女を助けてあげて』
―了―
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