星がまたたく

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その日は、-6度の寒気団が関東地方にまで南下して、例年になく寒い夜だった。 タクシー乗り場は長蛇の列だ。 時計を見ると0時に近い。 ほとんどは忘年会帰りの客なのだろう。 寛司はタクシーで帰るのをあきらめ、コートの襟を立てて歩き出した。 この寒空で動かずに居たら身体の芯まで凍えてしまう。 駅の階段下からサン・ガーデン・コーポへは徒歩で20分だ。 陸橋から若者の騒がしい会話が響いて来る。酔った勢いで、気炎を吐いているのだろう。 二つ目の交差点で道路工事に出くわした。
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