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昨夜の忘年会は型通りに終わった。
課長は、いつものように型通りの挨拶を済ませると姿を消した。
幹部だけの忘年会と掛け持ちなのだと、誰もが知っている。役場の忘年会は、どこでも同じらしい。
職場の飲み会には上司など居ない方が良いに決まっている。芳志を幹事に預けて早々に退席した課長は、そこを弁えている。出来る男なのだ。
サービスモーニングにはドリンクバーが付いている。新聞も付いている。持ち帰っても良いのだが、寛司は読むだけで充分だった。
中ほどの記事に、衆議院選挙の投票率が問題だとあった。
《 史上最低の52.66%
投票したのは有権者の2人に1人。
逆に言うと有権者の半数が選挙に参加しなかったという事だ。
これは何を意味するのか?
選挙は民主主義の体裁だが、実は破綻している。
【今こそ民意を!】と政治家は声高に訴える。
だが、それは【絵に描いた餅】なのだ。
政治家は民意など汲まない。
今回の選挙は党利党略の選挙だった。
結果として連立与党の議席数は全体の3分の2を超えた。
最もダメージを被ったのは民主党だ。
党としては前回よりも議席数を伸ばしたにも関わらず、海江田代表は自らの選挙区で敗れ、辞任に追い込まれた。
野党第一党の代表が選挙に敗れ、比例区でも落選するなどとは前代未聞の出来事として注目を集めた。
それも、その筈。与党は総理をはじめとして知名度の高い幹部20名を集中的に選挙区へ送り込み、自党候補者の応援と称して聴衆を集める演説を間断なく展開したのだ。
こんな狙い撃ちの、卑怯で、えげつない戦法も前代未聞である。
選挙は勝たなければ意味がない。だが、このような権謀術数で野党の候補者を蹴落とす事が、民意を反映させる選挙と言えるのか?
はなはだ疑問である。
有権者の半数が参加しなかった今回の選挙。
政治家は、そこから民意を汲み取るべきだろう。》
記事は、そう結ばれていた。
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