星がまたたく

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深夜11時。 寛司はフリースの上にボア裏地のついたジャンパーを着て部屋を出た。 工事現場へ向かう。 寛司は誘導員に近づいて尋ねた。 「こんばんは。あの……美山あかねさんですか?」 「はい。そうですが、なにか?」 彼女はゴーグルとマスクを外した。 「すみません。きのう定期券を落とした者です。上原寛司といいます」 「あらっ、あなたでしたか。あの時、すぐに気づいたんですけど、車が来てしまって……ここを離れる訳にはいかなくて。それで交番に」 「ええ。それで良かったんです。お陰さまで戻りました」 「あかねちゃん。交代しよう」 背後から声が掛かった。 「あっ、須藤さん。まだ休憩には」 「いいさ。後で俺の休憩時間に頑張ってもらうから」 須藤は、にこやかに告げるとゴーグルを着け、道路の中央に出た。 「コーヒーを奢らせて下さい。あそこで少しだけ話をしましょう」 寛司は、はす向かいのディーラーの一角に在る自販機を指差した。
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