12人が本棚に入れています
本棚に追加
ただ、一人であることに嫌悪感を抱いて、誰かに話しかけたりはしなかった。
出来なかったと言ってもいい。
そうして特に何もしないまま、学生生活の時間はすり減っていった。
冥菜「ねえ、零矢…君。一緒にご飯、食べない?」
高校最後の一年、思いがけない冥菜の誘いに、思わず口が開いてしまった。
彼女とは、大した交流も無い。ただ、一年生の時に同じクラスだった覚えがある。それだけだ。
何故だ、という俺の問いに、冥菜は明確な答えを出さなかった。
出さなかったのか、出せなかったのか。今となってはどうでもいい事なのかもしれない。
その後、どんな言葉を交わして、冥菜と良く喋るようになったのかは、あまり覚えていない。
気づいたら、冥菜とだけは良く話せるようになっていた。
他のクラスメイトとは話せなかった。話しかけられなかった。
それでも楽しかった。学校生活が随分と変わった。
最初のコメントを投稿しよう!