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街には今をときめくアイドルの広告がいたる所に点在している。いつかは冥菜も…
マネージャーとしてそう思う。焦らず頑張ろう。冥菜はきっとトップアイドルになれると俺は予感している。
とりあえず暖かい物買っときゃいいかな…
…そういえば、結衣子さんが買ってきてほしいって言ってたの何だったかな…
コーヒーと…ああ、カップ麺か。どうでもいい事はすぐ忘れてしまう。
店を出て事務所に帰る道すがら、一つの広告が目に止まった。
トップアイドル達が数多く所属している事務所のオーディションがあるらしい。
…オーディション、か…うちの事務所もやりたいな。社長に聞いてみるか…
そんな事を考えているとあっという間に事務所の扉についた。ドアノブが冷たすぎて手が痛い。
「…買ってきたぞー…あれ」
そこには冥菜の姿は無かった。なるほど、時計を見ると、もう少しで歌のレッスンの時間だった。
結衣子「遅かったですね、零矢さん…」
「…ええ。はい、これ。」
結衣子「あ、ありがとうございます。」
「ええ…」
「…………………」
中学高校と、窓から外ばかり見ていた。とにかく窓際が落ち着くので、今の職場でも、窓際の席にいる。
…そんな環境にいると、人と話す機会が無い。こんな俺に、話しかけてきてくれた冥菜なら、かなり話せるのだが…
同じ職場にいるはずの結衣子さんですら、まともに話せない。仕事なら、割りきって話せるのだが…
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