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結衣子「あの、零矢さん…」
「………な、何ですか?」
結衣子「……………あの」
いつも飄々としている結衣子さんにしては、随分と口が回っていない。話しにくい事なのだろうか。
結衣子「…クリスマスって…予定ありますか…」
確信した。これは罠だ。このアマ、俺を童貞だと分かった上で、俺に好意があると思わせて、もてあそぶ気だろう。
「何でですか?」
結衣子「事務所でパーティーやるらしいですよ。社長主催で。…それで、そのー…予定入ってたりしていないかなー…と。」
「あ、そうですか入ってないです…」
普通に勘違いだった。童貞恥ずかしい死にたい。
結衣子「なーんだ、やっぱりそうでしたか。当然ですね。当たり前ですよね。零矢さんなんかが私より上なわけ、無いじゃないですか。」
何言ってんだこいつ
結衣子「はっ、恋愛経験なんて無い童貞さん野郎な訳です。まあ知ってた。コミュ障のあなたが童貞だなんて火を見るより明らかですからね。」
童貞なのは否定しない。しかし結衣子さんは表情を変えずにペラペラと喋っているが、顔に汗があるのが見てとれる。
おいこの人まさか…
「処女ですか?」
結衣子「…で、…ででで、デリカシーの欠片も感じませんね、女性にそんな事言うなんてセクハラです勝訴確定です有罪ですよ通報しますよ。」
…表情は変えないが、汗の量が増えている。この人、無表情ではあるが、ポーカーフェイスではないみたいだ。
結衣子「こ、ここここんな美貌の私がし、しょしょしょ処女なんて、あるわけないじゃないですか…」
「お互い本当の事を言って楽になりましょう。僕は童貞です。」
結衣子「…………………うう」
改めて、職場でなに話してるんだよ俺達は
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