第1章

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「相変わらず何にも話してくれなかったね」 週末に訪れたスペイン料理のお店で向かいに座った真由子の機嫌がなかなか直らない。   「なんか目の前の事でいっぱいいっぱいで相談する余裕もないっていうか。ごめんね」 「まあ、あの車の彼女の事はともかく、二人が上手く行ったのは聞いてたから、連絡ないのは順調なんだって思ってたし。ずっと心配してた訳じゃないけど。そんな大変なことがあったなんて。一人で泣いてんじゃないわよ」   「真由子…」 ちょっと突き放したように言うけど、それも変わらない真由子の優しさで思わず涙ぐんでしまった。
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