19人が本棚に入れています
本棚に追加
「死にたくなくても、海で命を落とすやつもいる。
だから、あの子がしたことは、海への冒涜だ。
けど、一番バカなのはお前だ。
わしらは、この海で生きていくしかない。
いくらお前が挑んだって、返してくれるわけでもなく。
あの子が喜ぶとも思えんな」
聞き分けのない子供を諭すように、源じいは繰り返す。
そんな説教なんて、聞きたくない。
わかってるんだよ。
わかっているけど、認めたくないんだ。
諦めたら、何もかもが無駄になるような気がして。
今自分が生きていること。
その確たる証が欲しいだけ。
最初のコメントを投稿しよう!