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叫んでも、呼んでも。
声は波に飲み込まれて消えていく。
顔に打ち付ける雨も。
叩きつけるように降り注ぐ雨も。
全ては、海に還っていく。
なみ…
奈美っ!
俺を許すな!
連れていけ!
荒れた海に飛び出しては、吼えるように空に向かって叫ぶ。
気が済むまで叫んだ後は、ただ船に転がって天を仰ぐ。
こんなことをしても、帰ってこないこともわかっている。
意味がないことも。
だけど、荒れた波を前にしてしまうと、衝動的に海に出る。
俺は、狂っているのかもしれない。
いや、狂っているんだろう。
奈美が死んだ、あの日から。
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