理想的なRatio.05

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  相原さんはこちらへ、なんて言われるがまま座った座席。 隣不在のまましばらく過ごしていれば、車で明日の仕事の確認をしていたらしい結婚したい男No.1が村木さんとともに現れ、当たり前のように私の隣へ…。 入ってくるなり、主役のご登場とばかりにみんな大盛り上がり。 私の初の映像作品だということもあって、それにもお疲れさまでしたと皆さん言ってくれたんだけど…いかんせん、江村兄弟に挟まれて…ものすごく肩身が狭い。 (結婚したい男No.1が普通に接してくれることが唯一の救いだ…) 一週間前、あんなことがあったのに、久しぶりに顔を出した今日の現場では誰も何も言ってこなかった。 数名見ていた人がいたはずだけど、私が体調不良でしばらく休んだからか、特にあの日のことは問題にならなかったようだ。 そして、結婚したい男No.1の態度も、まるで何にもなかったかのような飄々としたもので…逆に意識していた私は拍子抜けしてしまった。 「相原さん、色々とお疲れさまでした」 「あ、こちらこそ…素晴らしい作品を撮っていただいて完成が楽しみです」 ぺこりと頭を下げると、先日と同じ人の良い笑顔が目に入る。 撮影の責任者として結婚したい男No.1に指名されてきたらしい、ディレクターさんと思わしき男性。 以前聞いたところによると、普段は映画の撮影をしている監督さんらしい。 映画以外のディレクションは久しぶりだったとさっき本人が話していた。  
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