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「素晴らしいって…相原さん、当たり前じゃないですか」
左隣から聞こえた声に、頭に「?」が浮かぶ。
その声に思考をめぐらせていれば、思いも寄らぬ言葉が…
「澄江さん今じゃ超有名監督だし」
「…え?」
「お前主演のやつが大当たりしたからなぁ」
「……え?」
「俺、3つも賞もらっちゃったよ」
「俺も2つもらったよ、」
あれのおかげで名前だけは売れたなぁ、なんて。
(澄江って…えええ?!今一番話題の三部作やってるあの…?!)
「あぁ、監督やるときと他で関わる時、名前変えてるんだ、ごめんね名乗ってなくて」
「え、相原さんご存知なかったんですか…?」
「江村くん知ってたの?!言ってよ!」
「えっあ、すみませんっ」
二ヶ月前にも感じた、この感じ。
思考が追いつかなくてワタワタと頭の中が忙しい。
初めて関わった映像作品を、今日本で一番話題になっている映画監督に撮ってもらえるとは…。
社会人8年目にして私のデザイナー人生最大の大仕事。
30は人生の転機になると聞いたことがあるけど、ここまでめまぐるしく何もかもが動き始めるとは正直思っていなかった。
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