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「昔はさ、夜中じゅう遊んでても24時間営業してるとこなんてあんまりなくて、バンドのメンバーと2丁目の牛丼屋でよくたむろしてたな。……だからそこの親父に迷惑がられて」
ひかるはまだぐすぐすと鼻をすすりながら、それでも不思議そうに俺を見上げた。
「コウちゃん……」
「あの頃は、何になりたいのかわからなくて。でも、いつかきっと抜け出そうと思ってた。俺はたぶんずっと、そう思い続けてきたんだ」
俺は涙で濡れたひかるの瞳を見つめた。その涙にクリスマスツリーの光が映って、ゆらゆらと揺れる。
「俺はずっと、迷ってた。……ごめん、迷ってばかりだった」
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