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とたんに腕の中で、優しい、小さな声がする。
「夢が小っちゃすぎるよ、コウちゃん」
「え?」
呟いた俺を見上げてひかるは笑った。その赤くなった頬に、白い雪がふわふわと舞い降りてくる。
泣き笑いのままひかるは、ほんの少し掠れた声で言った。
「コウちゃん……来年のクリスマスは、部屋にもツリーを飾ろうよ」
「うん……そうだな」
お前と一緒にいることがたぶん俺の夢で、それが俺の幸せなんだ。
お前の笑顔を見ていられるなら、俺はきっと歌を、捨てることができる。
手を伸ばしてつかまえられるうちに、もう一度お前を抱きしめたいと俺は思う。
そのためになら、ひかる。
俺はきっといま、何にだってなれる。
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