狼になりたい

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俺はゆっくりと煙草の火を消してから裏に出た。 外階段から2階に上がり、事務所のドアをノックして開ける。 「お、来たか。浩輔(こうすけ)」 「リュウさん、すみません」 頭を下げた俺に、ほら、と手渡された封筒は、思ったよりも厚かった。 え?という顔をしたのだろう。 「今日までのぶんだ。ちょっとだけ、ボーナス入れといた」 リュウさんは、いつもみたいに少しだけ笑った。 「ありがとうございます」 俺は、封筒を胸ポケットにねじ込んだ。 「また、いつでも来い」 はい、ともう一度深く頭を下げて事務所を出た。鼻の奥がつんとして、ここにいるとまた俺は泣きそうになる。
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