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俺の隣でひかるがほうっと息をついた。
白い、その息が少しだけ尾を引いて、ひかるの長い髪にきらきらとまとわりつく。
「綺麗だったねえ。……良かったなあ、今日コウちゃんと見られて。明日はお店ラストまでだから遅くなるし」
「ひかる」
駅前の大きなクリスマスツリーを見上げたまま、俺は言った。
「キャバクラ、明日で辞めろ」
「え……?」
ひかるが小さく息を飲むのがわかった。俺はゆっくりとひかるの顔を見下ろす。
紺色のニット帽をかぶった顔は化粧っ気がなくて、まるで高校生みたいに幼く見えた。
でも、そんなひかるがいつまでも少女のままでいられないことも、俺が一番よくわかっている。
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