《第3章・お互いを想う…》

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土曜のファミレスは家族連れ・学生の団体客でやっばり混んでいた。松本さんは傷ついた私の体を、すれ違う客からかばいながら案内された席に着いた。 松本さんは“もともと美和とご飯を食べたくて誘ったんだから”と笑顔になった。真意はまた後で確かめればいい…ーーー。 『ともかく好きな物食べなさい、頑張ったご褒美よ』遠慮してると食事の後にパフェを頼んでくれた。 『美和が断るからあたしはマクドで食べちゃったけど、意外ね。ランチセット完食だわ』 助けてくれたんだもの… お腹も減るよね… お互いにただこうしていたかったって気持ちから笑っていた。 駐車場に出ると松本さんが私を隠すように上着で視界をさえぎった。 『あの女子達はまだアキラとナオに似た男子を探してるのね』 私にだけ聞こえる声でそう言った。すぐ近くをクラスの女子達が走ってくのを、松本さんの上着越しに聞いて身を硬くする。 大丈夫、というように肩に手が添えられ私は優しさにせつなくなる。 女子達が通り過ぎ、車に戻ると松本さんはしたり顔だった。 『アキラとナオに似た男子って見つからないの?』 『嘘だから見つかるわけないでしょ(笑)』 『嘘ぉ?(笑)』 『当たり前でしょ、美和を傷つけた奴らに甘い気分なんか味わわせない』 松本さん… あなたに彼女がいても私はあなたが好きです… 『誘った時にはランチしてどこかに行こうと思ってたけど、塗り薬塗って美和は休まないとね』 薬局に寄り痛み止め・打ち身に効く塗り薬を松本さんが買ってくれた。 『大袈裟だよ』 『良いから』 お互いに、松本は《2人同時に付き合ってるのか?・青い車の男は彼氏なのか?》 美和は《○○検査薬を使う彼女がいるのか?》 お互いに聞けずにいた。 ただ、松本だけは【勘違いする】って言った美和の言葉の真意を問いただすつもりでタイミングをはかっていた。 『美和ちゃん、今日あたしと会わなかったら誰かと…なんでもない』 珍しく口ごもる松本さんはクシャッと前髪をかきあげた。 元々、前髪はわざと無造作にたらしてるヘアスタイルだけど…私はやたらとゾクゾクするのを感じた。 もうすぐ家、まだ4時。 まだまだ側にいたいよ… 家の前で降ろしてくれて、じゃっと手をあげる松本さん。 バッグ…まだ渡してない。
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