《第3章・お互いを想う…》

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ミロにカリカリをあげ部屋にカバンを置く。 買ってもらった塗り薬を手に取り『大袈裟だよ』と笑った。 松本さんが来てくれなければ私…見せチューをやらされていたかもしれない。 家に鍵をするとフェアリーズの手提げ袋を持ってマンションに走っていった。 チラリと松本さんの車を確認して部屋のチャイムを鳴らす。 『美和そんな体で…』 心配しつつも嬉しそうな顔をされると勘違いしちゃうよ。 ソファーに促され、今更ながら緊張する。 さっきパスタとパフェを食べたばかりだけど、出されたカルピスを半分飲んでる私。 普段から松本さんカルピスを飲んでるのかと思うとクスクス笑った。 『何?美和、何がおかしいの?』 隣に座って私を見る松本さん、近すぎる… 『松本さん、いつもカルピス飲んでるのかと思うと…大人でも飲むのかなっておかしくて(笑)』 『割って時々はカルピスも飲むけど、カルピスは美和用なのよ』 そう言ってフイッと照れくさそうに横を向く。 私用に… もっとも私がここに来た回数なんて数えるくらいだから、1ヶ月経つと飲んで、買い替えて冷蔵庫に入れてるそうだ。 私用に…ーー。 キュンとしながらも、やっぱり飲んでるのかとまた笑う私に松本さんが決まり悪そうに『良いじゃない』とふてくされる。 ふてくされた顔をされると見ため何歳か若く見える。《危ないところを助けてくれる怒ったあの顔も・相手に立ち向かう意を決した冷たそうなあの顔も好きだけど…ーーー》 けど今のように優しさにあふれた顔もたまらない…ーーー。 そんな事を考えてると照れくさくて下を向く。 『こっちを向いて』 赤い顔をしながらも松本さんを見る。 『たまらない顔をするのね、ゾクゾクする』 ゾクゾクする…それを聞いてまた下を向く私に…。 『こっちを向いて』 あごに手をかけられ松本さんの方を向かされた…。 口を手でなぞられると…本当に勘違いしてしまうよ。息が苦しくなる… そんな私を見ながらクスッと笑う松本さん。 『何もしないから(笑)』 見透かされてる… 私は落ちつこうと残りのカルピスを飲んで、左横に置いたフェアリーズの手提げ袋を差し出した。 『助けてもらってるお礼がしたくて』 『助けてもらってるお礼、なんて良いのに。あたしが勝手にしてる事よ』
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