21 お兄さんは心配です

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「松本くんは照れているんだよ。だって、その薬って……」 「――あっ、そうか!」 「え……何? そうかって、理央くん?」  一転、笑顔になった理央が夏樹に抱きついた。 「大丈夫だよ、夏樹さん。恥ずかしいなら見えないように挿れてあげるから」 「――――は!?」 (今、何て言った? 入れる? 何を、どこに?)  夏樹がベッドの上で狼狽えている間に、理央の手がするりと夏樹の下着の中に入ってきた。 「ひゃっ!  ちょ、理央くん!?」  あまりに簡単に理央の手が下着の中に入ってきたことで、自分が今下着一枚しか着けていないことに、夏樹は今さらながら気づいた。 「可愛い……夏樹さん」  理央の華奢な指先は夏樹の腰骨を掠め、そのまま背後に回ると夏樹の後ろの膨らみを、その形を確かめるようにそっと撫でた。  もどかしいくらいに夏樹の肌の上をさわさわと動く理央の手に、まともな抵抗もできない夏樹はただその感触に身を任せるしかない。 「あ……あっ」 「夏樹さん、気持ち良い?」  理央が夏樹の耳朶を食みながら囁く。 「やっ、理央く……やめ……」 「でもまだだよ。もっと良くしてあげる」 「――――あっ、何?」  理央の指が二つの膨らみの狭間に滑り込み、夏樹自身でさえまともに触ったことのない場所へ触れた。  男にしては細く華奢な指先が、夏樹の蕾の襞をひとつひとつ数えるようにして、その周囲をくるりと撫でる。 「ん……っ」 「夏樹さん、本当に可愛い。大好き」  そう言って夏樹の頬に理央がキスをしたのと同時に、夏樹は後ろに違和感を感じた。 「え……? な……に?」 「挿ったよ。小さいから痛くなかったでしょ?」  どうやら先程のカプセル状のものを夏樹の中に入れたらしい。  眉を潜め不安げな夏樹の顔を、理央が両手でそっと包み込んだ。 「大丈夫、僕もしたことがあるから。もうすぐ凄く好くなってくるよ」 「理央くん……」  おとなしいとばかり思っていた弟は、実はとんでもない不良だった。  薬がもたらす作用が一体どんなものなのか不安に感じながらも、夏樹は可愛い心の弟のことが心配でならなかった。
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