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「私のテクニックが相当なものなのは否定しないが、サイズについては君の思っているのとは違うな。何なら見てみるかい?」
「は? 俺、何も言ってない……」
「夏樹、君、心の声が漏れているよ。何というか、そんな素直なところも愛しいが」
甘い言葉とともにベルトを外すカチャカチャという音が、布団越しに夏樹の耳に入った。
「ちょ、えっ――久志さん!? 何やってるんですかっ!?」
夏樹は未だ心の整理がついていない。それなのに、朝っぱらからこれ以上の濃ゆい展開は恋愛に未熟な夏樹には想像の範疇を超えている。
夏樹は慌てて布団の中から顔だけを出した。
「久志さん! ほんと、待って……」
「やあ。やっと顔を出してくれた。せっかく目を覚ましたのに、君のその可愛らしい顔が見られないなんて寂しいよ」
微笑みながら夏樹にそう告げる久志だが、すでにズボンが腿あたりまで下ろされている。さらに下着へ手を掛け、そのままずり下ろそうとするのを見て、夏樹は思わず手を伸ばした。
「久志さん! ストップ! 見せなくていいです、久志さんのサイズがとっても立派なものだというのは知ってますからっ!」
ベッドの傍らに立つ久志とは、夏樹が手を伸ばせばすぐに届く距離だ。
だが、慌てて勢いがつきすぎたため、夏樹の手は下着の端を持つ久志の手とともに久志の腿の横を滑り落ちてしまった。
「――――ん、ぐっ」
そのままの勢いで前へつんのめってしまった夏樹の顔面が、久志の股間へ直撃する。
「夏樹、積極的なのは嬉しいが、まだ君は体調が万全ではないだろう?」
「…………」
「 そんなに焦らなくても、君の体調が戻ったら、昨夜私が我慢した分も含めて存分に愛してあげるから」
だからほら、顔を離しなさいと久志が夏樹の肩を掴み、そっと押し返した。
「夏樹?」
「…………」
「夏樹、どうしたんだ? ほら、そんなところにくっいたままだと、君の顔が見えないじゃないか」
股間から顔を離すように久志が夏樹に促すが、夏樹はなぜか久志の股間から離れようとしない。
(ど、どうしよう――顔を上げろって言われても、どんな顔で久志さんのことを見たらいいんだよ……っ)
一刻も早くこの恥ずかしい状態を何とかしたいが、その後のことを考えると離れるに離れられない。
夏樹は久志の股間に顔を埋めたまま、微動だにできなかった。
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