25 後悔なんてしてません

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「や、や、です……やめっ……」 「本当に? やめてもいいのかい?」 「あ、あ……あ」  少し毛足の長い白いボア生地の中に膝を埋め、夏樹の昂ぶりへ刺激を与えながら久志が楽しそうに尋ねた。  夏樹がやめてと言っても、久志にはやめる気などさらさらないのだが。  着ぐるみ越しなのに、久志の膝は的確に夏樹のポイントをついてくる。  直接握って擦りたい。いくらポイントをついていても着ぐるみ越しでは、どうにももどかしい。  自分の手で直接刺激を与えたいのに、夏樹の両手は久志の手によって纏められ、頭の上で拘束されている。  過ぎる快感に耐えられず、夏樹の目尻から涙が溢れた。 「――夏樹」  久志が溢れた涙をキスで拭い、そのまま唇を塞ぐ。涙でしょっぱいキスだ。  拙いながらも夏樹はそれを受け入れ、口腔へ侵入してきた久志の舌へ自分のそれをぎこちなく絡めた。  二人きりの寝室に、二人分の唾液が立てる水音がやけに大きく響く。 「ふっ、ん……ん……っ」  いつの間にか夏樹の両手の拘束は緩んでおり、夏樹の両腕は久志の首に回されていた。  舌を絡めながら、久志の手が夏樹の背後へ回る。  久志の手は夏樹の腰骨を撫で、そのまま双丘へ下りると、お尻についている丸い形のうさぎの尻尾を掴んだ。 「んっ――――ん?」  久志の唇が夏樹からゆっくりと離れる。  濃厚なキスにすっかり酔ってしまった夏樹は、二人の間を伝う細い唾液の糸を呆けたように眺めており、そんな恋人の様子を久志が笑を浮かべながら見ている。 「夏樹、可愛いよ」 「…………」  瞬きで応える夏樹の額へ久志がチュッと音を立ててキスをした。そして夏樹の鼻の頭に白くてふわふわしたものが押し付けられた。  頭に「?」を浮かべながら、夏樹がそれを手に取る。
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