25 後悔なんてしてません

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 ベッドの枕元に置かれたコンビニの白いビニール袋。袋の中にはコーヒーゼリーが六個入っている。  一日一個食べるのを夏樹はとても楽しみにしており、そのことは久志ももちろん知っていた。 「夏樹、君の食べる分がひとつ減ってしまうが、構わないかな?」  夏樹の顔を覗き込みながら久志が尋ねる。  だが、前も後ろもどうしようもない状態になってしまっている夏樹に、自分の食べる分のコーヒーゼリーが少なくなるとか、今聞かれても答える余裕などもちろんない。 「……仕方がないな。使った分は後でまた買ってあげるから、それでいいだろう?」  荒い息で顔を上気させながら、夏樹はただ久志を見上げることしかできない。そんな夏樹の反応を一体どう解釈したのか、久志は後で新しいコーヒーゼリーを買うからと言って、枕元にあるコンビニの袋に手を伸ばした。 「ひとつで足りそうだな」  久志が袋の中からコーヒーゼリーをひとつだけ取り出し、シート状になったふたを剥がす。 「なるほど、ミルクは表面にかけてあるのか」  プラスチックの容器を傾けて妙なところに感心しつつ、久志はその中に人差し指を突っ込んだ。  半分蕩けた意識の下で、久志さんもコーヒーゼリーが食べたかったのかなどと、ちょっと的外なことを考えていた夏樹も、久志が指でコーヒーゼリーを混ぜ始めたのを見ると、目を見開いた。 「久志さん……何して……?」  真剣な顔をした久志が指でコーヒーゼリーを混ぜている。  グチャグチャという、聞きようによってはとてもいやらしく聞こえる音とともに、甘い匂いが部屋中に広がる。 「久志さん」 「うん? 待ちきれなくなったのか? ――――そろそろいいかな。夏樹、ちょっと後ろを向いてごらん」 「――えっ、何!?」  久志はおもむろに夏樹の体をひょいとうつ伏せにして、細い腰を持ち上げた。  顔はシーツにつけたまま、腰だけを高く上げるという格好だ。  
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