26 エピローグ

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 ベッドの中で夏樹が背後から久志に抱きしめられている。  事後の甘い雰囲気があってもよさそうなものなのに、なぜか夏樹の表情は不機嫌そうだ。 「――夏樹、こっちを向いてくれないか?」 「…………イヤです」 「夏樹?」 「だって俺、やめてって言ったのに……まさかお風呂場でも……」 「それは君が可愛すぎるのが悪い」  久志の言い分に夏樹が言葉を失う。  一応、夏樹に断ったとはいえ、久志は思いきり中で出してしまった。  何もかも初めてなのに、どうやって中に出されたものを処理すればいいのか夏樹にわかるはずもなく、風呂場で久志に掻き出してもらった。  その際、うっかり感じてしまった夏樹に欲情した久志が「こうやった方が効率よく掻き出せるから」と言って、風呂場で二ラウンド目をいたしてしまったのだ。 「夏樹」 「知りません」 「すまない、悪かった。だから、こっちを向いてくれないだろうか」 「…………」 「夏樹?」  久志の腕の中で夏樹が体の向きを変える。 「それじゃあ、許してあげます」 「夏樹――」 「――そのかわり……」  久志の胸元で顔を上げた夏樹が、じっと久志の目を見つめた。 「……久志さんの初恋の相手が誰なのか教えてください」 「――――え?」 「芹澤さんが言ってました。初恋の相手に告白するんでしょう?」
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