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僕の彼女はクリスマスというものを根本からして間違えている。
いや、彼女の想像するクリスマスは、トナカイのひくソリに乗ったサンタさんが子供たちにプレゼントを運んだり、クリスマスツリーのライトアップが幻想的だったり、カップルが特別な夜を過ごしたりするあのクリスマスではある。
ただ、
「今年も来たわね!X'dayが!」
「いや、だからね?Xmasを世間一般ではX'dayとは言わないんだよ」
このようにクリスマスの呼び方がおかしいのである。
「そりゃあ頭文字がXだから、まぁX'dayでもあながち間違いじゃないんだろうけど……」
それでもやはり腑に落ちない。
「主はきまっせり~」ともろびとこぞりてを熱唱する聖歌隊に耳を傾けながら、胸の内のモヤモヤする感覚を肌に刺すように寒い空気と共にヒシヒシと感じていた。
それは拭い去ろうとしても落ちないカレーのシミや、金属表面に付着した鯖のようなもので、今日幸せの比率が不幸を大幅に上回るであろう日であるにも関わらず、僕の心は重苦しく、心臓がいやに高鳴った。
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