クリスマスにはXが潜んでいる

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* 「クリスマスってさぁ。イエス・キリストの産まれた日なんでしょう?」 「それは違うよ。産まれた日じゃなくて、この世に産まれたことを祝う日。明確な誕生日は判明してないんだ」 ミシュラン三つ星レストランのディナーを満喫した後、くつろぎながら雑談しているうちにそんな会話になった。 「キリストってどんな気分だったんだろうねぇ」 「どんな気分?」 また彼女のなんとも変わった質問が来た。頬が少し赤いのは飲んでいた赤ワインのせいだろう。 もう素っ頓狂な質問自体は慣れっこなので、平然と構えた。 彼女は話をしだす。 「うん。神の子として産まれたのは、本人も自覚してたんでしょう?けど、教えを説き始めたのは三十路過ぎてから。昔の人の寿命なんてそう長くないと思うし、やけに遅すぎない?その間にさ、フツーに人としての幸せを妥協したいとか、思わなかったのかなぁ」 僕はついつい苦笑した。
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